11 小林 実央子
私は、自画像を油彩で描くのは初めてでした。初めは、鏡に映った自分を単に描いているだけでした。しかし、小牧先生のお話を伺っているうちにこれではいけないと思うようになりました。
自画像には、自分を取り巻く環境が入っているということを考えさせられました。
それからは自分と背景が別物にならないように色彩に気を付けました。最初のうちは、筆を使って描いていましたが、それでは本当に描きたい雰囲気がでなかったので思い切ってへらを使うことにしました。すると、筆よりも細かく描けないぶん大胆な感じになり「自分を表現すること」に少し気付いた気がしました。しかし、描き進めるうちに色の少ない絵になってしまい悩みました。そして悩んだ結果、自画像の自分の肌や服、背景を今の自分の気持ちに合ういろいろな色で一気に塗りました。その時、何だか細かいことに気を取られていた今までの自分を越えてすっきりとした気持ちになりました。それからは、今までよりも自由に絵を描けるようになりました。
また、自画像に向き合う時は毎時間さまざまな気持ちでした。そのさまざまな気持ちを色にして描きたいと思うようになりました。なかなかそのような色にするのは難しく、たくさん失敗をしました。先生は「一枚の絵を描くことは人生と同じだ」とおっしゃいました。とても胸を打つ言葉でした。成功することもあるし、失敗することもあります。でも、失敗を怖がってはいけないと思いました。その時間に失敗してしまった、と思っても次の時間にその自画像と向き合うと失敗だと思ったところがいい味を出している時もありました。また、私は塗った色を完全に塗りつぶさないようにしました。それは、人生で例えてみれば自分の過去だからです。先生の「一枚の絵を描くことは人生と同じ」という言葉から、そう思いました。
美術の時間は、自分自身と正面から向き合っていろいろなことを考えられる大切な時間でした。そして、先生のさまざまなお話から多くのことを考えさせられました。また、一枚の絵を描くという奥の深いことを学ぶことができました。ありがとうございました。