28 石原智樹
「絵は人なり」自分のような人間はまだまだ三流にもとどかないかもしれないが、これからの人生で、多くの一流に触れ、少しでも近づき、骨太な人間になりたい。最初に記したのは小牧先生がおっしゃった言葉。自分が約30時間かけてきた1枚の絵は人生のようだった。先生の言葉の意味を強く感じたのは、4,5時間たってからのことだ。自分の自画像は「破壊と創造」が繰り返され、少しずつよくなっているように感じた。絵のようすは青から緑、緑から赤、赤から黒、そして徐々に白へ。絵は重み、深みを増していった。
「絵は破壊と創造で美しくなる。」先生のこの言葉を聞いて、挑戦した。しかし、挑戦にはいつも勇気が必要だった。破壊にはいつも不安がつきまとい、創造にはいつも苦労がつきまとった。けれど、そうして少しずつ構築されていった僕の自画像は描き始めからは想像もつかないような作品に仕上げることができた。
翼工房にきてから長い月日が経った。しばらくしてから取り組み始めた自画像にかけてきた30時間は長いようで短く、短いようで長かった。1枚の絵を通して果たした自分探しの30時間は、とても大切な時間だった。きっとこの30時間はこれからの自分にとっても大切な時間になるだろう。鏡に向き合った毎時間、そこに映る自分は先生の言葉をうける度に、変わっていくのが目にとれた。それとともに時間を分かち合った自画像もまた、時を重ねていくにつれその内に秘めているものを主張し始めた。。しかしまだまだ自分探しの旅は続くことだろう。「絵は人なり」を心に刻んで、これからの人生で自分を探し求めることだろう。
今回の自画像は僕に自分探しのきっかけを与えてくれた。これからは翼工房で養った翼を背に、骨太な人間になって生きていきたい。